顎ボトックスの最大の魅力は、短時間の施術で、気になる顎の梅干しジワを解消し、滑らかで美しい顎のラインを手に入れられる点にあります。しかし、その一方で、必ず理解しておかなければならない最大のデメリットが、その効果が「永続的ではない」という事実です。ボトックスの主成分であるボツリヌストキシンは、顎の先端にあるオトガイ筋という筋肉に作用し、その過剰な緊張を一時的に和らげることで効果を発揮します。梅干しジワは、このオトガイ筋がぐっと収縮することで生じるため、筋肉の動きをリラックスさせることで、シワのない滑らかな顎が実現するのです。しかし、私たちの体には、ブロックされた神経の働きを回復させようとする自然な治癒力が備わっています。時間が経つと、神経の末端から新たな回路が再生され、再び筋肉に「収縮せよ」という命令が届くようになります。これにより、ボトックスの効果は徐々に失われ、オトガイ筋は元の活動を取り戻し、再び梅干しジワが現れるようになるのです。一般的に、顎ボトックスの効果が持続する期間は、個人差や注入量によって異なりますが、およそ3ヶ月から長くても半年程度とされています。つまり、一度の施術で手に入れた理想の顎のラインをキープするためには、効果が薄れてくるタイミングを見計らって、定期的に注射を打ち続ける必要があるのです。これは、長期的に見ると、決して小さくない費用がかかり続けることを意味します。一回の施術費用が数万円だとしても、年に2回から3回繰り返せば、年間で十数万円以上の出費となります。この経済的な負担は、治療を継続していく上での大きなハードルとなり得ます。また、定期的にクリニックに通うための時間的な制約も考慮しなければなりません。効果が一時的であることは、万が一、結果が気に入らなかった場合に「元に戻る」という安心感にも繋がりますが、同時に、美しさを維持するためには終わりなき投資と努力が必要になるという、シビアな現実でもあるのです。