口の中の粘膜が全体的に赤く腫れ、ヒリヒリとした痛みや熱感を伴うカタル性口内炎は、境界がはっきりした白い潰瘍ができるアフタ性口内炎とは異なり、炎症が広範囲に及ぶのが特徴ですが、その原因は物理的な刺激や化学的な刺激、さらには全身の健康状態の悪化など多岐にわたります。具体的には、熱すぎる食べ物による火傷や、合っていない入れ歯や矯正装置による摩擦、あるいは硬い食べ物や勢いよく動かした歯ブラシによる粘膜の損傷といった直接的な刺激がきっかけとなることが多く、損傷した部位から細菌が入り込むことで炎症がさらに悪化してしまいます。また、喫煙の習慣や過度のアルコール摂取、刺激の強い香辛料の常用といった化学的なストレスも粘膜に大きな負担をかけ、カタル性口内炎を誘発する要因となるほか、虫歯や歯周病を放置して口腔内の衛生状態が悪化している場合も、雑菌の繁殖によって炎症が起きやすくなります。症状としては、口の中が熱く感じられたり、食べ物の味が分かりにくくなったり、唾液の分泌量が増えて粘り気を帯びるといった変化が見られ、ひどくなると口臭が強くなったり、歯茎から出血したりすることもあり、特に食事の際の刺激が大きな苦痛となることが少なくありません。このカタル性口内炎を治療するためには、まず何が刺激の原因となっているのかを特定することが不可欠であり、物理的な傷が原因であればその部位を保護し、口腔内を清潔に保つためのうがいを徹底することが基本となりますが、多くの場合は1週間から10日程度で自然に治癒することが多いものの、背景に糖尿病や胃腸障害、ビタミン欠乏症などの全身疾患が隠れている場合には症状が長期化したり再発を繰り返したりするため注意が必要です。また、口腔乾燥症いわゆるドライマウスの状態にある人は、唾液による自浄作用や粘膜保護作用が低下しているためカタル性口内炎になりやすく、日常的なこまめな水分補給や唾液腺マッサージなどで口腔内の潤いを保つことが予防において極めて重要な役割を果たします。自己判断で放置すると、炎症がさらに深部まで及ぶ壊死性口内炎などに進展する恐れもあるため、痛みが強かったり範囲が広がっていたりする場合には、早めに歯科や口腔外科を受診して専門的な診察を受け、必要に応じて消炎鎮痛剤や殺菌作用のあるうがい薬、あるいは粘膜保護剤の処方を受けることが推奨されます。私たちは日常生活の中で、食べ物を美味しく味わい、楽しく会話をすることを当たり前のように行っていますが、カタル性口内炎はそのようなQOLを著しく低下させる要因となるため、日頃から口腔ケアの意識を高め、粘膜を傷つけない丁寧なセルフケアと規則正しい生活を心がけることが、健やかな口腔環境を維持するための第一歩となるのです。
カタル性口内炎の症状と原因を正しく知る