ある朝、突然上唇が腫れていたら、誰もが驚き、不安になるでしょう。このまま様子を見ていて良いのか、それともすぐに病院へ行くべきなのか。その判断は、唇の腫れ以外の症状を注意深く観察することで、ある程度見極めることができます。まず、最も緊急性が高く、すぐに救急車を呼ぶべきなのが、唇の腫れに加えて「呼吸困難」や「息苦しさ」、「声のかすれ」、「全身のじんましん」、「意識がもうろうとする」といった症状を伴う場合です。これは、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応の可能性があり、一刻を争う事態です。喉の粘膜が腫れて気道を塞いでしまうと、命に関わります。ためらわずに救急の対応を求めてください。次に、救急車を呼ぶほどではないものの、早めに医療機関を受診した方が良いケースです。一つは、「歯や歯茎に強い痛みがある」場合。これは、歯の根の先に膿が溜まっている「歯性上顎洞炎」の可能性があり、放置すると感染が広がる恐れがあるため、歯科や口腔外科を受診する必要があります。もう一つは、「強いかゆみや、水ぶくれを伴う」場合です。これは、ヘルペスウイルスの感染などが考えられ、皮膚科での適切な治療が必要です。また、腫れが数日たっても全く引かない、あるいはむしろ悪化していく場合も、何らかの病気が隠れている可能性があるので、皮膚科や耳鼻咽喉科、内科などを受診しましょう。一方で、「唇の腫れ以外には、特に症状がない」場合。痛みもかゆみもなく、呼吸も正常であれば、クインケ浮腫などの一過性の反応である可能性が高いです。この場合は、慌てずにまずは様子を見ても良いでしょう。患部を冷やしたり、刺激を与えないようにしたりして、数時間から一日程度、症状の変化を観察します。ほとんどの場合は、自然に腫れが引いていきます。しかし、何度も繰り返すようであれば、アレルギーの原因を特定するために、一度アレルギー科などを受診してみることをお勧めします。
上唇の腫れは病院へ行くべきかの判断