ベロにできてしまった、痛い口内炎。食事の味が分からなくなり、会話さえも億劫になる、あのつらさから、一刻も早く解放されたいと誰もが願うはずです。ベロの口内炎は、適切な応急処置と、その後の丁寧なセルフケアを行うことで、回復を早め、痛みを和らげることが可能です。まず、口内炎ができてしまった直後にできる応急処置です。大切なのは、「清潔」と「冷却」です。食後であれば、ぬるま湯で優しく口をゆすぎ、傷口についた食べかすや細菌を洗い流しましょう。刺激の強い洗口液は、かえって痛みを増強させることがあるので避けます。痛みが強い場合は、口の中に氷のかけらを含むなどして、患部を冷やすと、一時的に痛覚が麻痺し、楽になります。次に行うのが、本格的なセルフケアです。ここでの鉄則は、①刺激しない、②清潔に保つ、③回復を助ける、の三つです。①刺激しない:これが最も重要です。治りかけの白い膜を、舌で触ったり、歯でいじったりするのは絶対にやめましょう。食事は、香辛料、酸っぱいもの、塩辛いもの、そして熱すぎるものは、激痛の引き金になります。おかゆやポタージュ、ヨーグルト、ゼリーなど、喉越しの良い、柔らかいものを選びましょう。②清潔に保つ:口の中は、細菌の温床です。食後は必ず歯磨きを行い、口内環境を清潔に保ちましょう。ただし、歯ブラシのヘッドが、ベロの患部に当たらないように、細心の注意を払ってください。③回復を助ける:粘膜の修復を助ける、ビタミンB群(特にB2、B6)を、意識的に摂取しましょう。豚肉やレバー、卵、納豆などが豊富な食材です。また、十分な睡眠をとり、体の免疫力を高めることも、何よりの薬となります。市販薬を上手に活用するのも、賢い選択です。痛みがひどくて食事が摂れない場合は、患部に直接塗るタイプの「軟膏」や、傷口を物理的に保護してくれる「パッチ(貼り薬)」がおすすめです。パッチは、舌の場所によっては貼りにくいですが、うまく貼れれば、食事の際のしみる痛みを、劇的に軽減してくれます。手が届きにくい舌の奥などには、「スプレータイプ」の治療薬も便利です。これらの適切なケアを組み合わせることで、つらい期間を短縮し、快適な日常を、一日も早く取り戻すことができるのです。