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ボトックス治療で期待できる効果と実感
食いしばりや歯ぎしりを緩和するためにボトックス治療を受けた場合、具体的にどのような効果が期待でき、どのように実感されるのでしょうか。その効果は、単に食いしばりが弱まるだけでなく、様々な副次的なメリットをもたらしてくれます。最も直接的で、多くの人が最初に実感するのが「朝の目覚めの変化」です。治療前は、朝起きると顎が疲れている、だるい、痛いといった症状に悩まされていたのが、治療後は、顎周りがすっきりと軽く、爽快な朝を迎えられるようになります。無意識のうちに一晩中続いていた、筋肉の過剰な緊張から解放されるためです。次に、日中の無意識の食いしばりが減少します。パソコン作業中や、何かに集中している時に、ハッと気づくと歯を食いしばっていた、ということがなくなります。これにより、歯や顎関節にかかる過剰な負担が大幅に軽減されます。その結果として現れるのが、「歯の保護」です。強力な食いしばりは、歯にひびを入れたり、すり減らしたり、詰め物や被せ物を破損させたりする大きな原因です。ボトックスによって噛む力が適正化されることで、こうした歯へのダメージを防ぎ、歯の寿命を延ばすことに繋がります。また、顎関節への負担が減ることで、「顎関節症の症状緩和」も期待できます。口を開ける時の痛みや、カクカクという音が改善されるケースも少なくありません。さらに、多くの人が嬉しい副次的効果として実感するのが、「頭痛や肩こりの改善」です。咬筋は、側頭筋や首、肩の筋肉と連動しています。咬筋の過剰な緊張がほぐれることで、それらの筋肉の緊張も緩和され、長年悩まされていた慢性的な頭痛や肩こりが軽くなることがあります。そして、美容的な側面として、「エラの張りが解消され、小顔効果が得られる」こともあります。これは、過剰に発達して張り出していた咬筋が、ボトックスによって少し痩せる(萎縮する)ために起こる変化です。このように、食いしばりボトックスは、様々な角度から私たちのQOL(生活の質)を向上させてくれる可能性を秘めた治療なのです。