唇のカサカサは、単なる乾燥だけでなく、私たちの体の内側で起きている不調を知らせる、重要なサインであることがあります。いくらリップクリームを塗っても改善しない頑固な乾燥は、体からのSOSかもしれません。特に、唇の荒れと密接に関係しているのが「胃腸の不調」です。暴飲暴食やストレスなどで胃腸の働きが弱まると、食べ物から栄養素を十分に吸収できなくなります。特に、皮膚や粘膜の健康を維持するために不可欠なビタミンB群が不足しがちになり、その影響が、体の末端であり、粘膜がむき出しになっている唇に現れやすくなるのです。東洋医学でも、唇は「脾(胃腸)」の状態を映し出す鏡と考えられています。口角炎(唇の両端が切れる症状)が頻繁に起こる場合も、胃腸の疲れが原因であることが多いと言われています。また、「栄養不足」も直接的な原因となります。特に、粘膜の潤いを保ち、再生を助ける「ビタミンB2」と「ビタミンB6」の不足は、唇の荒れに直結します。ビタミンB2は、レバーやうなぎ、卵、納豆などに、ビタミンB6は、カツオやマグロ、バナナ、鶏肉などに多く含まれています。これらの食品が不足していると感じる方は、食生活を見直す必要があります。さらに、「水分不足」も唇の乾燥を引き起こす大きな要因です。体内の水分が足りていないと、当然、皮膚や唇の潤いも失われます。特に冬場は、空気が乾燥している上に、夏場ほど喉の渇きを感じにくいため、知らず知らずのうちに水分不足に陥りがちです。コーヒーや緑茶など、利尿作用のある飲み物ばかりでなく、常温の水や白湯をこまめに飲む習慣をつけましょう。そして、「ストレス」も無視できません。強いストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良を招きます。唇への血流が悪くなると、栄養が十分に行き渡らず、ターンオーバーも乱れ、荒れやすい状態になってしまいます。唇のカサカサが長引く時は、外側からのケアと同時に、自分の体と心の状態にも目を向けてみることが大切です。
唇のカサカサが訴える体の内側のサイン