特に思い当たる原因がないのに、朝起きると突然上唇が腫れている。そんな不思議な現象が繰り返し起こる場合、その背景には「ストレス」が深く関わっているかもしれません。ストレスと唇の腫れ。一見、何の関係もなさそうに思えますが、私たちの心と体は密接に繋がっているのです。突然の唇の腫れの多くは、「血管性浮腫(クインケ浮腫)」というアレルギーに似た反応が原因とされています。この血管性浮腫は、特定の原因物質がなくても発症する「特発性」のものが多く、その誘因として、身体的および精神的なストレスが大きな役割を果たしていると考えられています。私たちが強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、免疫システムにも影響が及びます。この乱れが、皮膚の下の血管のコントロールを狂わせ、血管から水分が漏れ出しやすい状態を作り出してしまうのです。普段なら何でもないような、ちょっとした刺激に対しても、体が過剰に反応してしまい、唇の腫れという形で現れることがあります。例えば、仕事のプレッシャーが大きい時期や、人間関係で悩んでいる時、あるいは大切な試験の前など、精神的に追い詰められている時に、決まって唇が腫れるという人も少なくありません。また、ストレスは無意識の行動を引き起こすこともあります。緊張すると唇を舐めたり、噛んだりする癖がある人は、その物理的な刺激が直接、腫れの原因となっている可能性もあります。さらに、ストレスは睡眠の質を低下させ、体の回復力を奪います。疲労が蓄積することで、免疫機能が低下し、さらに血管性浮腫が起こりやすいという悪循環に陥ってしまうのです。もし、あなたの唇の腫れが、忙しい時期や精神的に辛い時期に集中して起こるのであれば、それは体からの「少し休んで」というSOSサインなのかもしれません。腫れそのものを治すことも大切ですが、その根本にあるストレスと向き合い、解消する方法を見つけることが、再発を防ぐための最も重要な鍵となるでしょう。