鼻水、鼻詰まり、頭痛。これらの症状は、誰もが経験する普通の風邪でも、上顎洞炎でも見られるため、両者を見分けるのは時に難しいことがあります。しかし、いくつかの特徴的な違いに注目することで、ただの風邪なのか、それとも専門医の治療が必要な上顎洞炎なのかをある程度推測することができます。まず、注目すべきは「鼻水の色と質」です。風邪のひきはじめの鼻水は、水のようにサラサラとしていて透明なことが多いです。これに対し、上顎洞炎、特に細菌感染を伴う場合は、黄色や緑色をしていて、粘り気が強く、簡単にはかめないネバネバとした鼻水が出ることが特徴です。これは、白血球の死骸や細菌が混ざっているためです。次に、「痛みの場所と性質」にも違いがあります。風邪による頭痛は、頭全体がぼんやりと痛むことが多いですが、上顎洞炎の場合は、炎症が起きている上顎洞のある「頬の奥」や「目の下」「額」といった特定の場所に、圧迫されるような、あるいはズキズキとした痛みを感じます。特に、頭を下げたり、軽くジャンプしたりすると、その部分に痛みが響くようなら、上顎洞炎の可能性が高まります。また、上の奥歯に痛みや浮いたような違和感を感じるのも、上顎洞炎に特徴的な症状です。さらに、「症状が続く期間」も重要な判断材料です。通常のウイルス性の風邪であれば、一週間から十日程度で症状はピークを越え、快方に向かいます。しかし、上顎洞炎の場合は、風邪が治った後も、色のついた鼻水や頬の痛みが二週間以上だらだらと続くことがあります。これらの違いを知っておくことは大切ですが、最終的な診断は自己判断で行うべきではありません。もし、色のついた鼻水や顔面の痛みが続くようであれば、「たかが風邪」と侮らず、耳鼻咽喉科を受診して、正確な診断を受けることが重要です。