口の中にできる口内炎の中でも、舌、通称「ベロ」にできたものは、格別に痛くて厄介な存在です。食事をするたびに、会話をするたびに、ズキンとした痛みが走り、私たちの日常生活の質を容赦なく低下させます。なぜ、ベロには口内炎ができやすく、そして、なぜこれほどまでに痛いのでしょうか。その理由を知ることが、適切なケアへの第一歩となります。まず、ベロが口内炎の好発部位である理由は、その役割と環境にあります。舌は、食事、会話、嚥下(飲み込み)と、一日中休むことなく動き続けている、非常にアクティブな器官です。そのため、食事中にうっかり自分の歯で噛んでしまったり(物理的刺激)、硬い食べ物でこすれてしまったりと、常に小さな傷ができるリスクに晒されています。また、舌の表面は味覚を感じるための味蕾(みらい)というデリケートな組織で覆われており、もともと刺激に敏感な場所なのです。では、なぜベロの口内炎は、頬の内側などにできるものより、特に痛く感じるのでしょうか。その最大の理由は、舌には、痛みや触覚、温度などを感じるための神経が、非常に高密度に分布しているからです。そのため、たとえ小さな傷であっても、それが強い痛みとして脳に伝わってしまいます。さらに、前述の通り、舌は絶えず動き続けているため、できた口内炎が安静にしている暇がありません。食事や会話のたびに、傷口がこすれたり、引っ張られたりして、常に刺激を受け続けるため、痛みが長引きやすいのです。この、つらいベロの口内炎の主な原因としては、①物理的な刺激(噛む、火傷など)、②ストレスや疲労による免疫力の低下、③ビタミンB群などの栄養不足、④唾液の減少による口腔乾燥(ドライマウス)などが挙げられます。これらの要因が、単独、あるいは複雑に絡み合い、舌の粘膜のバリア機能を低下させ、炎症、つまり口内炎を引き起こすのです。まずは、自分のベロにできた口内炎が、どの原因によって引き起こされたのかを考えてみること。それが、この不快な痛みから、一日でも早く解放されるための、スタートラインとなるでしょう。