あれは、ひどい風邪をひいた後のことでした。熱や喉の痛みは治まったのに、なぜか右の頬の奥に鈍い痛みが残り、頭を下にするとズーンと重く響くような感覚が続いていました。鼻からは、粘り気のある黄色い鼻水が絶えず出てきます。インターネットで症状を調べると、どうやら「上顎洞炎」という病気らしいことが分かりました。しかし、仕事が忙しく、なかなか病院へ行く時間が取れませんでした。それに、心のどこかで「風邪が原因なら、そのうち自然に治るだろう」という甘い考えがあったのです。私は、薬に頼らず自力で治してみようと決意しました。栄養ドリンクを飲み、いつもより早くベッドに入る。加湿器をつけて部屋の湿度を保ち、体を冷やさないように気をつける。そんな生活を数日間続けました。しかし、症状は一向に良くなる気配がありません。むしろ、頬の痛みは増していき、下の歯まで浮いたように痛むようになってきたのです。夜も、鼻が詰まって息苦しく、痛みで何度も目が覚めてしまいました。さすがに「これはまずい」と感じ、私はようやく重い腰を上げて耳鼻咽喉科のドアを叩きました。レントゲンを撮った医師は、画像を見ながら「ああ、これは結構溜まっていますね。右の上顎洞が真っ白です」と一言。診断は、やはり上顎洞炎でした。そして、「ここまで炎症が進んでいると、自然に治すのは難しい。抗生物質でしっかり菌を叩かないと、慢性化してしまいますよ」と告げられました。結局、私は抗生物質と炎症を抑える薬を二週間飲み続けることになりました。薬を飲み始めると、あれほど頑固だった痛みや鼻水は数日で劇的に改善していきました。この経験を通して、私は自己判断の怖さを痛感しました。自然治癒力に期待するのも良いですが、それは専門家による正しい診断があってこそ。あの時、もっと早く病院に行っていれば、あんなに辛い思いをしなくて済んだのにと、今でも後悔しています。
私が上顎洞炎を自然治癒に任せた結果