歯科診療の現場において患者様から受ける相談の中で、非常に件数が多いのが歯茎に発生したアフタ性口内炎に関する悩みであり、その多くは食事の際の痛みや不快感をどうにか早く解消したいという切実な内容です。アフタ性口内炎は、境界がはっきりした円形または楕円形の白い潰瘍が特徴で、歯茎のような角化傾向のある粘膜にも頻繁に出現しますが、治療の基本となるのは消炎鎮痛効果のあるステロイド軟膏の塗布や、レーザーを用いた患部の殺菌・乾燥処理などが挙げられます。多くの患者様が誤解されがちなのですが、歯茎に痛いできものができたからといって一生懸命にそこを歯ブラシで磨こうとするのは逆効果であり、むしろ患部を傷つけて炎症を広げてしまうリスクがあるため、周囲を清潔に保ちつつも直接的な刺激は避けるのが賢明です。また、矯正装置や適合の悪い入れ歯が歯茎に当たっていることが原因でアフタ性口内炎を誘発しているケースもあり、その場合には原因となっている器具の調整を行わない限り、何度でも同じ場所に再発を繰り返すという特徴があります。診療室では、痛みを緩和するために麻酔成分が含まれた塗り薬を処方することもありますが、ご家庭でのセルフケアとしては、殺菌効果のあるうがい薬で口の中の細菌数を減らし、二次感染を防ぐことが早期治癒のための重要なポイントとなります。さらに、歯茎の粘膜を健康に保つためには亜鉛や鉄分といったミネラル、そしてビタミンB群の摂取が不可欠ですので、サプリメントの活用を含めた栄養指導を行うことも少なくありません。1年に何度も同じ場所にアフタ性口内炎ができる、あるいは3週間以上経過しても全く改善の兆しが見えないといった場合には、全身疾患の初期症状として口内炎が現れている可能性も考慮しなければならず、血液検査などの精密な調査が必要になることもあります。私たちは口の中の健康を守るプロフェッショナルとして、単に今の痛みを取り除くだけでなく、なぜ歯茎に繰り返し炎症が起きるのかという根本的な要因を探り、患者様お一人おひとりの生活背景に合わせた最適なアドバイスを日々提供し続けることを使命としています。
歯科医が語る歯茎のアフタ性口内炎への対処法