口内炎は、口の中の様々な場所にできますが、特に上唇にできやすいという方もいるかもしれません。その背景には、上唇が持つ特徴と、私たちの無意識の癖が関係していることがあります。上唇に口内炎ができる直接的なきっかけで最も多いのは、やはり物理的な刺激、つまり「傷」です。食事中に誤って唇を噛んでしまったり、熱い飲み物で火傷したりすることが、その代表例です。特に、上の前歯が下の前歯より前に出ている、いわゆる出っ歯の傾向がある方は、構造的に上唇を巻き込んで噛みやすいと言われています。また、無意識のうちに唇を噛む、吸うといった癖がある場合も、粘膜に慢性的な負担がかかり、口内炎の引き金となります。さらに、歯並びや、歯科治療で入れた被せ物の影響も無視できません。上の前歯の先端が尖っていたり、被せ物の縁が滑らかでなかったりすると、それが常に上唇の裏側の粘膜に接触し、小さな傷を作り続けていることがあります。特定の場所に繰り返し口内炎ができる場合は、こうした歯科的な問題が隠れている可能性も考えられます。もちろん、全身的な要因も大きく関わってきます。ストレスや睡眠不足、疲労などが蓄積すると、体の免疫力が低下します。免疫力が落ちると、粘膜の抵抗力も弱まり、普段なら何でもないようなわずかな刺激でも、すぐに口内炎に発展してしまうのです。また、ビタミンB群、特に粘膜の健康維持に不可欠なビタミンB2やB6が不足すると、唇や口の中の粘膜が荒れやすくなります。このように、上唇の口内炎は、歯並びや癖といった局所的な要因と、免疫力の低下や栄養不足といった全身的な要因が複雑に絡み合って発生します。もし上唇に口内炎が頻繁にできるようなら、自分の生活習慣や口の中の状態を一度見直してみると、原因解決の糸口が見つかるかもしれません。