ある火曜日の朝、私はいつものようにアラームの音で目を覚ましましたが、顔に言いようのない違和感を覚えました。特に口元が重く、感覚が麻痺しているような感覚があり、鏡の前に立った瞬間、私は自分の顔に絶句することになりました。上唇がまるで漫画のキャラクターのように肥大し、普段の3倍ほどの厚みになっていたのです。痛みはほとんどありませんでしたが、皮膚が限界まで引き伸ばされているような突っ張り感があり、口を完全に閉じることが困難な状態でした。前日の夜に特別なものを食べた記憶はなく、化粧品を新調したわけでもありません。インターネットで「唇、突然、腫れ」と検索して初めて知ったのがクインケ浮腫という言葉でした。そこには痒みを伴わないことや、数日で消えることが多いと書かれていましたが、あまりにも異様な外見に耐えられず、私はマスクを2枚重ねにして近所の皮膚科へ駆け込みました。待合室で待っている間も唇の腫れは引く気配を見せず、むしろ下唇の方まで少しずつ膨らんできているように感じて生きた心地がしませんでした。診察室で医師に見せると、すぐに血管性浮腫、通称クインケ浮腫であるとの診断が下されました。医師の説明によると、過労や睡眠不足、精神的なストレスが蓄積した際に、体が過剰に反応して血管から水分が漏れ出すことがあるそうです。確かにその時期の私は大きなプロジェクトの締め切りに追われ、連日3時間から4時間程度の睡眠しか取れていませんでした。アレルギー検査の結果も陰性であり、体からの「休め」というサインだったのだと痛感しました。処方された抗ヒスタミン薬を服用し、その日は仕事を休んでひたすら眠ることに専念しました。服用から12時間が経過した頃、ようやく唇の厚みが半分程度になり、翌々日の朝には跡形もなく元の唇に戻っていました。この体験を通じて学んだのは、クインケ浮腫は単なるアレルギー反応だけでなく、自律神経の乱れや疲労によっても引き起こされる可能性があるということです。それ以来、私は唇に少しでも熱っぽさやピリピリとした違和感を感じた時は、すぐに休息を取り、無理をしないように心がけています。外見の変化が激しいため精神的なダメージが大きい症状ではありますが、原因を見極めて生活習慣を見直すきっかけにすれば、再発の不安を軽減できるのだと実感した出来事でした。