唇がただれてしまうのはなぜ?
唇がヒリヒリと痛み、赤く腫れて皮がむけ、時にはじゅくじゅくとした液体が出てくる「ただれ」。この辛い症状は、一体なぜ起きてしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされます。最も一般的な原因は、極度の乾燥と、それに伴う物理的な刺激です。唇は、肌の潤いを守る皮脂膜を自ら作ることができず、角質層も非常に薄いため、元々とてもデリケートな部分です。空気が乾燥する冬場や、冷房の効いた室内では、唇の水分が奪われ、カサカサの状態になります。この乾燥した唇を気にして、無意識に舐めたり、めくれた皮をむいてしまったりする行為が、粘膜のバリア機能をさらに破壊し、炎症を悪化させて「ただれ」へと進行させてしまうのです。また、「接触皮膚炎」、いわゆる「かぶれ」も大きな原因の一つです。口紅やリップクリームに含まれる特定の成分、マンゴーや柑橘類といった食べ物、歯磨き粉や洗顔料、あるいは管楽器の金属部分などが、アレルゲン(原因物質)となって、唇にアレルギー反応を引き起こすことがあります。原因物質に触れるたびに、かゆみや赤み、そしてただれの症状が繰り返し現れるのが特徴です。さらに、体の内側からの影響も無視できません。疲労やストレス、睡眠不足などによる免疫力の低下は、唇の抵抗力を弱め、些細な刺激でも炎症を起こしやすい状態にしてしまいます。特に、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB群の不足は、唇の荒れやただれに直結します。その他にも、アトピー性皮膚炎の症状の一環として唇がただれたり、特定の薬剤の副作用として現れたりすることもあります。このように、唇のただれは、外的な刺激と内的な不調が重なった時に起こる、体からの危険信号なのです。