上唇の口内炎が特に痛い理由とは
口内炎はどこにできても厄介なものですが、特に上唇の裏側にできると、他の場所とは比較にならないほどの不快感と痛みに悩まされることがあります。なぜ、上唇の口内炎はこれほどまでに厄介なのでしょうか。その理由は、上唇が持つ役割と、その動きの多さにあります。まず、上唇は食事や会話、表情を作る際に、絶えず動いている部分です。私たちが話したり、笑ったり、何かを食べたりするたびに、上唇は伸び縮みし、歯や食べ物と擦れ合います。口内炎という傷口が、この動きによって常に刺激され続けるため、痛みが治まりにくいのです。安静にしている暇がない、というのが上唇の宿命と言えるでしょう。また、食事の際にも特有の問題があります。食べ物を口に運ぶ時、多くの人は無意識のうちに上唇を使って食べ物を口の中に取り込みます。この時、食べ物が口内炎に直接触れてしまい、激しい痛みを引き起こすのです。特に、パンやご飯粒、麺類などが患部に当たると、その痛みは格別です。さらに、飲み物を飲む際も、コップやペットボトルの縁が上唇の口内炎に触れることが多く、何気ない水分補給でさえ苦痛に感じることがあります。加えて、上唇の裏側は、上の前歯と常に近い位置にあります。歯の先端が口内炎に触れるだけでも痛みを感じますし、歯磨きの際には歯ブラシが当たってしまい、激痛が走ることも少なくありません。このように、上唇の口内炎は、日常のあらゆる動作、食事、会話、歯磨きといったシーンで、他の部位よりもはるかに多くの刺激にさらされる運命にあります。この絶え間ない刺激こそが、上唇の口内炎の治りを遅らせ、痛みをことさらに強く感じさせる大きな原因なのです。