期待して受けた食いしばりボトックス治療。それなのに、思ったような効果が感じられない。そんな時、何が原因として考えられるのでしょうか。効果が不十分な場合、いくつかの可能性が挙げられます。まず、最も考えられるのが「ボトックスの注入量や注入位置が適切でなかった」という技術的な問題です。食いしばりに使う咬筋は、非常に大きく厚みのある筋肉です。その人の筋肉の発達具合や硬さ、大きさに見合った量のボトックスを、適切な深さと位置に正確に注入しなければ、十分に筋肉の緊張を和らげることができません。注入量が少なすぎれば効果は弱くなりますし、注入位置が浅すぎたり、的を外れていたりすると、効果はほとんど現れません。これは、施術を行う医師の経験と技術に大きく左右される部分です。次に、「ボトックスに対する抗体ができてしまっている」可能性です。非常に稀なケースですが、ボトックス治療を短期間に何度も繰り返したり、一度に大量の注入を受けたりすると、体内でボトックスに対する抗体が作られてしまうことがあります。この抗体ができると、注入されたボトックスの効果が中和されてしまい、薬が効きにくくなるのです。これを防ぐためには、適切な治療間隔を守り、不純物の少ない高品質な製剤を使用することが重要です。また、「咬筋以外の筋肉が食いしばりの原因となっている」場合も考えられます。食いしばりに関わる筋肉は、咬筋だけではありません。こめかみの部分にある「側頭筋」も、ものを噛む際に強く働く筋肉です。咬筋の働きが弱まっても、側頭筋の緊張が非常に強い場合は、食いしばりの症状が残ってしまうことがあります。この場合は、側頭筋への追加注入を検討する必要があります。さらに、効果の現れ方には個人差があり、「効果発現までに時間がかかっている」だけという可能性もあります。通常、効果は数日から二週間で感じられますが、人によってはもう少し時間がかかることもあります。治療後、一ヶ月程度は様子を見ることが大切です。もし、一ヶ月以上たっても全く効果が感じられない場合は、治療を受けた医療機関に相談し、原因を追求してもらうようにしましょう。