軽度の上顎洞炎と診断され、医師の管理下で自然治癒を目指すことになった場合、薬に頼るだけでなく、日々のセルフケアで積極的に体の回復力をサポートしていくことが大切です。ちょっとした工夫で、辛い症状を和らげ、治癒を早めることができます。まず、最も手軽で効果的なのが「鼻うがい」です。体液に近い濃度の食塩水(生理食塩水)を使って鼻の中を洗浄することで、鼻腔や上顎洞の入り口に溜まった膿や鼻水を洗い流し、粘膜の炎症を鎮めることができます。鼻の通りが良くなるだけでなく、粘膜の線毛運動を助け、膿の排出を促します。市販の鼻うがい専用キットを使えば、誰でも安全に行えます。次に、蒸気を活用したケアもお勧めです。お風呂の湯気や、洗面器にお湯を張って立ち上る蒸気を吸い込むことで、鼻の粘膜が潤い、固くなった鼻水が柔らかくなって排出しやすくなります。蒸しタオルで鼻の付け根あたりを温めるのも、血行を促進し、頬の重苦しい痛みを和らげるのに効果的です。ただし、熱すぎるタオルは火傷の原因になるので注意しましょう。また、睡眠時の姿勢も一工夫してみましょう。仰向けに寝ると、鼻水が喉に流れやすくなったり、鼻詰まりがひどくなったりすることがあります。枕を少し高くして上半身をやや起こした状態で寝ると、鼻の通りが楽になり、呼吸がしやすくなります。部屋の加湿も忘れてはなりません。空気が乾燥していると、鼻の粘膜も乾燥し、防御機能が低下してしまいます。加湿器を使ったり、濡れタオルを部屋に干したりして、適切な湿度(五十〜六十パーセント程度)を保つようにしましょう。これらのセルフケアは、あくまで治療の補助的な役割です。基本は十分な休養と栄養です。無理をせず、体をいたわりながら、これらの知恵を上手に取り入れて、一日も早い回復を目指しましょう。
自然治癒を後押しするセルフケアの知恵