一度だけでなく、忘れた頃にまたやってくる、突然の上唇の腫れ。そのたびに原因を考えるけれど、はっきりとした理由は分からない。そんな「繰り返す唇の腫れ」に悩まされているなら、それはあなたの体質や、特定の生活習慣が関係している可能性があります。繰り返す唇の腫れの代表的な原因は、やはり「特発性の血管性浮腫(クインケ浮腫)」です。これは、明確なアレルゲン(原因物質)が特定できないものの、何らかの誘因によってアレルギーのような症状が繰り返し起こるものです。その誘因として最も多いのが、前述したような「疲労」や「ストレス」です。体が疲れていたり、精神的に参っていたりすると、体の防御システムが誤作動を起こしやすくなり、唇の腫れとして現れるのです。もし、あなたの唇の腫れが、仕事の繁忙期や、季節の変わり目など、心身に負担がかかる特定の時期に集中しているのであれば、この可能性が高いでしょう。また、特定の「薬剤」が原因で、繰り返し腫れが起こることもあります。特に、痛み止めや解熱剤としてよく使われる「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」や、一部の降圧薬は、血管性浮腫を引き起こすことが知られています。毎回同じ薬を飲んだ後に唇が腫れる、というパターンに心当たりがあれば、その薬が原因である可能性を疑い、医師や薬剤師に相談する必要があります。さらに、あまり知られていませんが、「遺伝性血管性浮腫(HAE)」という、遺伝的な要因で起こる特殊なタイプの血管性浮腫も存在します。これは、血液中にある特定のタンパク質が生まれつき不足しているか、うまく機能しないために、腫れを抑えるシステムが働かない病気です。腹痛や喉の腫れを伴うことが多く、家族にも同じような症状の人がいる場合は、専門医による診断が必要です。このように、繰り返す唇の腫れには、様々な背景が考えられます。症状を記録し、どんな時に起こりやすいのかを把握することが、原因を突き止め、適切な対策を立てるための第一歩となります。